印刷営業マンだった頃の反省点。

私は昔、小さな印刷会社の営業マンをしていました。
当時はバブルがはじけかけていたころでしたが、田舎はその影響が遅く、営業というよりも電話がかかってきてからの御用聞きが仕事でした。

9年ほど勤めて会社を辞めるとき、お世話になったお客様や取引業者さんにご挨拶をしなければと一人で足を運びました。ところが、そのほとんどは素っ気無い対応でした。ごくわずかなお客様がエールをくれただけ・・・(落ち込みました) 自分ではおおくのお客様が寂しがるのかな~とおおきな勘違いをしていたようです。

どうしてそうなったか?
一言で言えば「喜ばれることをしていない」ということ
印刷営業マンであった自分の反省点をいくつかあげると・・・

取引先を上下関係で感じていました。
印刷会社はデザイン会社、自社では印刷できない仕様を印刷できる印刷会社、印刷の版を製作する会社、製本会社などそのよう取引先に対して「支払いしているのはうちの会社なんだから!」と若造にもかかわらず業界の先輩方に生意気な態度をしていました。本当は自社ができないことをお願いするのだから「ありがとう」なのに。

自分の都合でお客様の都合をかえていました。
早く帰りたい!変更を直すのが面倒くさい!お客様のセンスが気に入らない!自分の考え方一番正しい!などを理由にお客様の要望や必要な時間など考えず商品(印刷物)を意味なく強引に制作進行をしていました。アドバイスする能力が私になかったのでしょうね

入札で利益を減らしてでも勝ち取ることが一人前の営業マンだと思っていました。
市町村で必要な観光パンフやチラシなどの入札でライバル会社に仕事がいってしまうことが悔しく、利益を削ってまでも入札を落札していました。そして「あの仕事はうちでやっているんだよ!」と誇らしく自慢したり・・・提案も企画もしていないのにアホですね

自社の現場(怖い職人さん)に適切な指示ができませんでした。
現場の人が怖かったせいか、私に説得力がなかったせいか、現場の人に気を使ってばかりいました。そのため現場都合が強くなり平気で納期を遅らせたりしていました。またコミュニケーションがうまくできていればもっと効率のよい現場スケジュールが組めたと今では思います。

お客様との会話はつまらない話で盛り上げるだけ。
会話を楽しくすることは大切ですが、「つまらない話」とは「みにならない話」のことです。自分の会社の愚痴や同僚の悪口など、また自分を少しでも大きく見せるために「私はあの有名な○○さんと仲がいいんです!」とか聞かれてもいないのに・・・

忙しいを勘違いしている。
例えば、車で2時間かかる○○さんのというお客様がいたとします。その場合、「今日は話を聞く」「明日は資料を届ける」「明後日は預かったものをかえしに行く」・・・営業のスケジュールの考え方で1週間なんか簡単に埋めることができる。それを「私は忙しい」と思っていました。「忙しい」って口に出さないで仕事が何でもこなせることが優秀なのに・・・

利益を考えない。
印刷物の金額は、営業費・デザイン費・撮影費・印刷用の版代・用紙代・印刷費・製本費を足し算した金額が総額になります。その大体が用紙代。例えば総額50万円の印刷物の6割から7割が用紙代です。それ以外、デザイン・撮影・製本を外部にお願いすることになると残る利益は10万円ないかも・・・そんな利益率の低い印刷物にたいして、お客様に「安くしてよ!」といわれるとひとつ返事で「営業費」を削り安くしていました。(お給料をもらっているのに) お客様が「高い」といっているのは「そんなに予算がない」という意味で、それを履き違えその場を穏便にすませるため、ただ利益を下げていました。会社の利益を勝手に下げてその場のお客様を喜ばせることが良いことだと思っていたのでしょうね。本当は仕事の結果や内容で喜ばせるべきなのに。

馴れ馴れしく話すことがコミュニケーションだと思っていました。
定期的にお仕事をいただけるお客様とは、しだいに気が緩んできます。相手がまじめに話していることに気づかずはぐらかしてしまったり、冗談のつもりが相手を傷つけていたり。例えば同級生から仕事をいただくようなことがあっても馴れ合いで仕事を進めないように心がけなければ・・・

うちのお客だ!と言っていました。
同業者と話しているときなど「○○商店はうちのお客さんだよ」なんて言っていました。本当はお客様から選ばれているのに (感謝の気持ちがないとこういってしまうのか・・・)

すごい印刷機があるから仕事がくると思っていました。
印刷機はとても高額な機械です。それが会社に導入されているから仕事がくると思っていました。「うちにはこんなすごい印刷機がある!だから仕事をください」のような感じで。お客様はこの印刷機で印刷してほしいなんて思っていなのに変ですよね。自社のマーケティングができていなかったということですね。

印刷の専門家ではなかった。
当時、デザイン会社などで二つの印刷物を広げどっちが綺麗か?と聞かれたとき正直わからなかった。それどころか印刷会社でないデザイン会社の方たちのほうが、それを見分ける能力があった。紙の種類をたくさん知っているだけで印刷専門家きどりでした。(勉強不足)

感じて働いていませんでした。
お客様は「もの」を売りたい、「集客」を増やしたい、PRをしたい、ために印刷物というメディアを選択している方が多いです。印刷物を使用しなくてもそれが可能ならば印刷物は必要がないはずです。だからお客様の要望に深く感じて考えて提案する。その結果、消費者の心を動かす印刷物が価値のある商品になるはず。印刷営業は感じて働くことが大切と思いました。


勘違いばかりでしたが、当時この会社を辞めることを親に伝えるとき電話元で涙を流していたことを憶えています。こんなでも自分なりに経験を積み重ねてくれたお客様に感謝をしていたつもり。しかしそれと、まったく違う別れ際のお客様や取引業者の方の様子が、その後、足りなかった経験や知識を早くとりもどなければ!という焦りで悩みました。

まだまだ今も自分の弱点をなんとか直していくために勉強中の私です。
弱点を直すことってとっても難しい、そうなる過程で育ってきているから
少しずつ弱点を直していくことと、感じて働き、自分の強味をさらに高くしていくことが今の目標です。

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コメント(4)

間島さん今日は。大変ご無沙汰しております。何時ぞやは、色々と情報を頂き誠に有難うございました。
先日御社のホームページより「間島の仕事」を拝見しました。なるほど・・・といった感じで本当に多くのことに共感させて頂きました。「印刷営業マンだったころ・・・」などにつきましては、自分の中に忘れかけていた大事なことを思い出させていただいた気がします。有難うございました!
以前?というか、益々厳しい世の中ですが、間島さんのコメントにもあるような大事なことを忘れずお互いに頑張っていければと思います。
それでは、とにもかくにもがんばりましょう!!!

小平様

大変ご無沙汰しております。
コメントありがとうございます!

お元気でしょうか?
私は最近、太り始めてメタポ予備軍に近づいています・・・

何よりも健康な体であることが大切ですね。

小平様もお体を大切にし、この業界をリードしていきましょう!

お世話様です。
早速ですが、読ませて頂きました。自分は、経験も浅くこれからいろいろな事を覚えていこうと思っていますが、一つ一つの行動に責任を持っていかなければならないな、と思いました。
間島さんの体験談を少しでも自分の今後に生かして、感じて働ける印刷営業マンになれればと思います。
まだまだ何も分からない新人ですが、皆さんにご迷惑をおかけしないように頑張っていこうと思います。
これからもご指導ご鞭撻の程、よろしくお願い致します。

小林さん

コメントありがとうございます!
指導なんて偉そうな立場じゃないっすよ!
まだ反省途中ですから

お互いに仕事の中で自分のおこなったことにより
良い影響をもたらし、それを喜びにしていきましょう!

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このブログ記事について

このページは、間島 賢一が2007年3月16日 12:27に書いたブログ記事です。

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